大阪府三島救命救急センターの看護師(看護婦)募集情報、求人情報を掲載しています。

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相談室だより Vol.10「大 切 な 通 過 点」

「カウンセラー(臨床心理士)松本よし子」

 営業マンとしてバリバリ仕事をこなしてきた主人公は、キャンピングカーを購入し妻と二人で気ままな旅行をするのが夢でした。55歳で早期退職を果たし、家族にその計画を
提案します。
 子供たちはそれぞれ成人し「自由にしたら」と言いますが、肝心の妻は、趣味の仲間との時間も大事で、気が進まない雰囲気です。みかねた娘から「年齢的にも経済的にも、もう少し余裕をみてからにしたら…。」と諭され、再就職を試みます。しかし、今までの人脈も役立たず、職業人としてやれてきたというプライドは傷つきます。宙に浮いたキャンピングカーの話も、妻からはっきりと、「今、自分の時間がなくなるのは困るの」と言われ、あきらめざるを得ないことに気づかされていくのです。
 はじめは喉の調子がおかしく、呑み込みがうまくいかなくなり、そして次第に、イライラがつのり精神的に不安定になった主人公は、心療内科を受診します。
 「私はうつ病ですか? 原因は、キャンピングカーも再就職も幻想だと分かったから…。」と問う彼に、医師は答えます。
 「きっかけはそうかもしれませんが、私は、それがあなたの不調の原因とは思いません。あなたは、奥さんには奥さんの時間があるということに気づき、それを受け入れたからでしょう。」
 「どんなに親しい間柄でも、人には人の固有の時間があり、他の人はそれを勝手にいじることはできない。それに気づくことは一種の事件のようなもので、一時的に精神的に不安定になるのは自然なこと。新しい人間関係を築くには時間がかかり勇気の要ることなのです。」

この物語は、NHKのドラマ『55歳からのハローライフ』第1話です。

 人生の、様々な時代に、私達は大切な周囲の人との関係の見直しを迫られます。
 どんなに仲の良い家族でも、親友でも、自分の思い通りにはならないという驚きとつらさに、私達は何度も出会わされていきます。 ある時は、とても呑み込めない事態に、耐え難い怒りや恨みになり、ある時は、からっぽの無力な自分に愕然とし…、そして、何かを学んで“脱皮”していくしかないのです。
 この難しさに心身の調子を崩し、「うつ病」という診断名がつけられることも多く、ある面では、それは、正しく役に立つことでもあるのでしょう。しかし、“病気”と捉えてしまうだけでは、とてももったいないことになってしまいます。
 この先の人生で、私と大切な誰かとの豊かな時間を過ごせるようになる、ひとつの、大切な通過点でもあるのでしょうから…。