大阪府三島救命救急センターの看護師(看護婦)募集情報、求人情報を掲載しています。

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 大阪府三島救命救急センターでは、「職員のための相談室」を開設しています。
 相談室のカウンセラーは外部から臨床心理士を招き、中立的な立場で職員に対応しますので、安心して様々な悩みを相談することができます。
 特に医療の分野では、自身の心の在り方が問われる場面が多く、カウンセリングを通して、職員のよりよい社会人・職業人としての成長を応援しています。本稿では、職員向けの【相談室だより】から一部を抜粋し掲載致しますので、ご覧ください。

相談室だより Vol.17「日にち薬」

「カウンセラー(臨床心理士)松本よし子」

 皆さんは、「日にち薬」という言葉をご存じでしょうか?
 私にはとても身近な言葉ですが、案外、知らない方が多く、念のため、インターネットで調べてみると‘関西でよく使われている言葉’とのことでした。
 文字通り「病気が癒えるには時間が必要。時間がお薬」との意味ですが、つらい経験や大切な人を失った悲しみなど、こころが抱えた苦しみを乗り越えていくのにも長い時間がかかることがあります。
 「早期発見・早期治療」とよく言われます。確かに、科学技術の進歩は、次々と新薬や医療機器を産み出し外科手術は進化し、多くの病が恐ろしいものではなくなってきました。
 センターでは、一刻を争う事態への皆さんの御健闘のおかげで、多くの命が救われていることを思うと‘有難い世の中になったなぁ~’と、感謝せずにはいられません。
しかし、一方で、私達には、「苦しさに耐える力」「はっきりと答えの出ない時間や事態に耐える力」が、弱くなってきているのではないか、と疑いたくなることもあるようです。

『とにかく速いヤツにして!』 と、鎮痛剤のCMでは叫ばれます

身体の苦痛であれ、こころの苦痛であれ、「一刻も早くこの苦しみから逃れたい」と叫びたくなるものです。
 「モンスター なんとか」と名づけられる、すぐにイライラして「まわりのせい」と爆発してしまう人が増えているのも、こうした時代背景があるのかもしれません。
 科学技術は、生きることの難しさ [ 天災・人災・病気・ケガ そして 苦痛・不快・不便 … ]
の解決をめざして発展してきたものです。
 昔なら一泊二日の出張も、今は日帰りでできるでしょう。しかも、新幹線の中で、書類作成や携帯電話での打ち合わせもできるようになり、便利で効率は上がりましたが、一方で、ゆっくりとした時間の流れは失われてしまいました。 遠く離れた外国のニュースは瞬く間に世界を駆け巡り、インターネット SNS の世界では、身を隠したまま‘暴言’を吐き、国や会社、個人に侵入して不安をかきたてます。
 目に見えるものの進歩や豊かさは、必ずしも、人のこころを満たし平安にしてくれるだけのものでもなさそうです。

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 長いカウンセラー生活のなかで、私は「時代社会が変わっても、生きていく苦しさ難しさは、今も昔も変わらないのだなぁ~」とよく思います。
 そして、ことわざ や 格言 箴言 といわれる多くの言葉に秘められた知恵に、感銘を受けてきました。  「日にち薬」もその中の一つです。
 「日にち薬」とは、思い通りにならない現実やわが身の不運を恨み嫌がり続けるのではなく、できるだけのことをした後は、自分自身の ‘自己治癒力を信頼する’ ということ。 
それは、病やつらい経験を、起こったことは起こったこととして受け入れる覚悟の大切さをこころに育んでくれる お薬 でもあるのかもしれませんね。

‘科学技術の進歩・目に見えるものの豊かさ’ と ‘こころの豊かさ’ を
共に手に入れていくことは、人間にとって難しい永遠のテーマなのでしょう ……